山火事(WILDFIRE)とセンターピボットによる影響について

― 当ツアーの今回の観測地選定にあたっては、万一の際の複数の通行ルート確保や、当日の空の状況に応じてのフレキシブルな対応等も考慮いたしました。

乾季にあたる夏のアメリカ中西部では、WILDFIREとよばれる山火事が頻繁に発生します。
これは秋から春にかけての雨季に、大量の降雨や積雪のある地域に形成される森林が、夏の長い乾季の間に極度に乾燥することで、落雷や樹木同士の摩擦によって発火するものです。

また、多くの国立公園や国有林をもつアメリカでは、“森林火災も自然の一部”との考えから、“自然発火による森林火災は原則として消化活動をしない”とされているため、広大な森林を延焼しながら何日も燃え続けている様子は、例年日本でも報道されているほどです。

イエローストーンの山火事(2016年8月22日撮影)
イエローストーンの山火事
(2016年8月22日撮影)
イエローストーンの山火事②(2016年8月22日撮影)
イエローストーンの山火事②
(2016年8月22日撮影)
グランドテトンの山火事(2016年8月23日撮影)
グランドテトンの山火事
(2016年8月23日撮影)

今回の皆既日食で、気象条件が最も恵まれているとされるオレゴン州やアイダホ州、ワイオミング州においても例外ではなく、毎年6月から9月のかけて多くの山火事が発生するため、観測地の選定のためには、気象条件に加え、万一の山火事による煙の影響も考慮する必要があります。

当ツアーの観測地としてご案内するアイダホ州アルコは北緯43度38分に位置しており、この季節は南西から北北東に向けての南西偏西風が流れています。

8月中旬の偏西風
8月中旬の偏西風
SNAKE RIVER PLAIN
SNAKE RIVER PLAIN

アルコはアイダホ州の南側を東西に走るスネークリバー・プレイン(SNAKE RIVER PLAIN)という大平原の北端にあり、東から南西の方向にかけての広い範囲に山や森林はありません。また、風上となる南西方向にはクレーターズ・オブ・ザ・ムーン(CRATERS OF THE MOON N.M)という溶岩台地が広がっており、樹木や草もまばらなため、この方面で山火事が発生することは通常ありません。

アルコ付近の風向き

アルコの西から北西にかけては、ソートゥース国立森林公園(SAWTOOTH NATIONAL FOREST)という広大な森林が広がり、毎年のように山火事が発生していますが、NASAの衛星写真でもわかる通り、アルコ方面に煙が流れてくることは夕方の時間帯や、ごく稀に風向きが変わった時に限られています。

2012年8月中旬
2012年8月中旬
2013年8月中旬
2013年8月中旬
2015年8月中旬
2015年8月中旬
2016年8月中旬
2016年8月中旬

規模の大きな山火事になると空の半分以上を煙が覆うこともあり、皆既日食の当日まで、山火事情報には注意が必要です。

センターピボット(CENTER PIVOT)という農場

センターピボット
センターピボット

また、アメリカ中西部には、センターピボット(CENTER PIVOT)という農場がたくさん存在しています。これは、乾燥地域特有の灌漑農法で、汲み上げた地下水を自走式の配管を使って円形の農場に水や肥料を撒くものです。ひとつの農場の半径は数百メートル規模で、盛夏には1日に何度も大量の水が撒かれるため、進行にともなって急激に気温が下がる皆既日食にどういった影響が出るのかは未知数です。

アルコ周辺にもセンターピボットは複数ありますが、万一の観測への影響を回避するため、第1接触から皆既そして第4接触に至る東南東(110度)から南南東(161度)にかけての約50度の範囲にセンターピボット群がない場所を選んでいます。

当日の天候はもちろん、山火事の煙やセンターピボットによる影響など、考慮すべき要素はたくさんありますが、当ツアーの今回の観測地選定にあたっては、万一の際の複数の通行ルート確保や、当日の空の状況に応じてのフレキシブルな対応等も考慮いたしました。


【画像引用元】

※偏西風画像は、https://earth.nullschool.net/jp/ の画像を使用し、一部加工しております。
※山火事衛星画像は、https://www.nasa.gov/mission_pages/fires/main/index.html の画像を使用し、一部加工しております。